【新作の動画を公開しています】
葛西友子さんによって初演されたコンガソロのための新作「宿ったのは、言葉」の動画を公開しています。この作品は、武生国際音楽祭の中の演奏会「新しい地平1」にて演奏されました。
↓動画のご視聴はこちらからどうぞ
従来のハンドパーカッションの奏法と撥を使った奏法を自由に行き来するような内容となっております。


初演時のプログラムノートを合わせて掲載します。
一際忙しかった夏を終えた頃、ふと山陰地方を訪れる機会に恵まれた。私はまだ鳥居 をくぐる事こそ出来なかったが、紙垂(シデ:しめ縄に垂らす神域を表す和紙)が風に触れ る様くらいは、遠くからでも見たかった。境港からの道のりは不思議な景色で、道路の両 側に臨む汽水湖との高低差はほぼ無く、移動していると時が止まっているかのようだ。土 と水面の境界の様に、音と言葉の隔たりはどの位あるのだろう。そんな事を考えながら参 道の脇道に車を停めると、こっそりと入った大社の神苑に神楽の舞台が建てられていた。 それは木造の簡易的なもので、客席は虫もいれば陽射しも強い。やがて太鼓の奏楽が始ま ると、聴いた事のない抑揚の謡の中に知っている言葉が立ち上がって来た。「―どうぞ、 降りてください。」すると、たちまち太鼓にも言葉が宿った。斐伊川の流れが砂鉄と交わ って色を作っているように、あるいは神話がたたら製鉄の挿話と関係しているように、境 目が曖昧なところにきっかけがあって何かが生まれてくる。今、この手の中にある小さな 太鼓も言葉を覚えるだろうか。そうね、信じて根気強くあやそう。「そのうち歌って雨を 呼ぶかもよ」と土も答える出雲の神在月だった。ープログラムノートより引用
改訂も終わりましたので、後ほど再演の日程もお知らせいたします。お聴きくださった皆様、嬉しい反響もありがとうございました。
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